第一回OUJミュージアム試行的企画展 ごあいさつ

放送大学長 岩永 雅也
放送大学長 岩永 雅也

ごあいさつ

放送大学の構想は、1967(昭和42)年の社会教育審議会への文相の諮問「映像放送およびFM放送による教育専専門放送のあり方について」に求められます。諮問の背景には、実用化されたUHFおよびFM波の高等教育分野での利用が模索されていたという事情がありました。その諮問への答申を受けて文部省は1969(昭和44)年に「『放送大学』の設立について」を発表し、放送大学という他に類を見ないユニークな名称もそのときに定められました。そうした背景のもと、放送大学は、いつでも、どこでも、誰もが学べる大学を標榜し、主に放送を利用して講義を行う当時日本で唯一の大学として1983(昭和58)年4月に発足しました。以来40年間、放送大学は遠隔高等教育のリーディング・ユニバーシティとして、常時多くの放送授業を提供してきました。現在は、BS放送による放送授業のほか、その放送授業のネット配信、あるいはネットを利用したオンライン科目、全国57カ所の学習センターそしてサテライトスペース等での年間約3,000科目の面接授業やライブWeb授業など、多彩なメディアと形態で、約8.5万人の学習者に向けた授業を休みなく展開しています。
そうした特異なシステムを持った放送大学が、これまで第一人者として取り組んできた遠隔高等教育に関する「放送大学Web資料館」を2024年(令和6)春に開設いたしました。資料館では、放送大学がこれまで制作してきた膨大な教育コンテンツや印刷教材、そして放送技術などに関わるいずれも貴重な資料を数多く収集・保存し、その一部の展示、あるいは研究と教育を体系的に行います。
このたび、その放送大学資料館では、その活動の一環として、資料館のコンセプトと収集された資料、そして放送大学の教育活動を広く市民の皆さまにお知らせすることを目的として、第1回放送大学資料館企画展を開催することとなりました。この機会に、放送大学の教育システムとそれを支える制作・放送技術、そしてその歴史について関心を持っていただき、理解を深めていただくことができれば望外の幸せです。  

2025(令和7)年3月
学長 岩永雅也

ごあいさつ

放送大学は1983(昭和58)年に設置され、1985(昭和60)年4月から放送による授業と学生受入れを開始しました。1998(平成10)年からは衛星放送による全国放送を行い、これまでに延べ186万人の入学者を迎え、およそ14万5千人の卒業生・修了生を送り出しています。この放送大学の授業の中核を担ってきたのが、放送授業番組です。45分番組が15回と印刷教材を合わせて1科目が構成され、2単位が付与されます。
さて、この形態は、いつ、どのように確立したのでしょうか。このたび、この疑問の参考になる貴重な資料が見つかりました。1972(昭和47)年にNHKのUHFで放送された放送大学実験番組です。既に45分番組が15回と印刷教材で構成されていました。印刷教材の判型はA5判で現在と同じです。2024(令和6)年9月、本企画展の準備委員会である「試行的企画展示ワーキンググループ」のメンバーでNHK放送博物館を訪問した際、この放送大学実験番組の台本が保管されていることが新たに分かりました。
また、1984(昭和59)年に開催された「映像表現の多様性」というシンポジウムでは、柳川啓一主任講師の「宗教理論と宗教史」というテレビ科目の一部を同一テーマで演出の異なる6種類の映像として制作され、その視聴実験の報告がありました。この6種類の映像もこのたび発見されました。
このほか、放送開始前には、アナウンサーが聞き手を務めたり、アナウンサーが番組の進行を行ったりするといった制作手法の試みもありました。放送大学の番組は、開学前から、こうした実験成果をもとに制作されています。放送大学の歴史自体が、生涯教育、視聴覚教育、遠隔教育といった学術分野における貴重な資料といえるのです。
第1回OUJミュージアム企画展の今回は、放送大学前史として、1969(昭和44)年3月の社会教育審議会「映像放送およびFM放送による教育専門放送のあり方について:答申」から1985(昭和60)年の放送開始までの時代を取り上げます。展示では、上記の映像を視聴していただけるようにしました。また、展示には放送大学の番組で使われたスタジオセットも再利用されています。是非、放送大学の成り立ちに関わる歴史に触れていただければ幸いです。

2025(令和7)年3月
OUJミュージアム(放送大学資料館)
試行的企画展示ワーキンググループ一同